肩の痛みの多くは、筋肉のこわばりや骨格の歪みが関係していますが、なかには病気が原因となって肩の痛みが起こっている場合もあります。
内臓疾患などは全く肩の痛みとは関係ないように思われますが、心筋梗塞や狭心症、心身症など心臓の病気や、肺がん、肺腫瘍、肺膜炎、胆のう炎などが原因で肩に痛みが起こる場合もあるのです。
肩の痛みがあっても、それが内臓の病気からきているものだとは気がつきにくいということもあり、病院へ行くのが遅れがちになりやすいので注意が必要です。
また、原因不明の痛みが首から肩にかけてあるとか、肩より上に腕をあげると痛みとともに痺れも起こるなどといった場合も、単なる筋肉疲労による肩の痛みではなく、病気が関与して肩の痛みの起こっている可能性があります。
特に原因もなく突然肩に痛みが起こり、腕が上がらなくなってしまうなどといった症状が出た場合は肩関節周囲炎が疑われます。
肩関節周囲炎は俗に五十肩などと呼ばれているもので、関節周辺の組織(筋、腱、じん帯、関節包)が炎症や拘縮を起すために肩に痛みが生じます。
肩に起こった痛みは関節周辺の筋肉を硬くしてしまい動きを制御してしまいます。
それが原因で肩の痛みが増し、更に腕などを動かしにくくしてしまうのです。
肩関節周囲炎による痛みは、時間の経過とともに解消していくものですが、やはり早期発見をして早くから治療を開始した方が、それだけ痛みなどの症状が治るのも早いようです。
判断の基準としては、両腕を上にあげたとき(バンザイの姿勢)に耳と上腕が触れるかどうかが目安です。
この動作を行なうのに、痛みがあったりして少しでも抵抗があるようだと肩関節周囲炎の予備軍といえるでしょう。
肩関節は運動不足だと老化が進みやすく、肩の痛みの症状も悪化しやすくなるので、日頃から定期的な運動やストレッチを心がけるようにしましょう。
頚椎と呼ばれている背骨の首の部分に起こるヘルニアが原因でも、肩に痛みやこりを伴うことがあります。
腕神経叢といわれる神経が脊髄神経から流れているのですが、それが頚椎の両脇から手に向かって流れているため、頚椎にヘルニアが起こると圧迫された神経が伝わり、肩にも痛みがあらわれてしまうのです。
特にヘルニアは後ろの方へ飛び出しやすいので、首を後ろに傾けたときに圧迫が強まり痛みも激しくなります。
痛みは首や肩だけでなく、腕や指先にまで及び、症状が重くなると下半身にまで痛み(神経痛)があらわれてしまいますので、早期に診断を受けて治療を始めるようにすることが大切です。
治療法は基本的に保存療法となります。
首や肩の痛みが強い場合には安静にして、消炎鎮痛剤や湿布を用いて、けん引療法や装具療法をしていきます。
ただし、症状によっては手術が必要になる場合もあります。
変形性頚椎症とは、頚椎の老化が進んで変形がはっきりとわかるようになる病気です。
変形が始めると、骨の表面に棘のようなものがでてきます。
この棘が脊髄や神経根と血管を圧迫するため肩などに痛みがあらわれるのです。
棘が小さければ圧迫も弱いので、それほど痛みを感じるという事はなく、ただ肩がこるといった程度なのですが、進行して棘が大きくなってくると、肩や首の痛みや痺れがでてきて、なかなか脱力感がとれなくなり、後頭部にまで痛みがあらわれるようになります。
更に、足にも痺れや痙攣をともなって歩行が困難となり、排尿障害も起こってしまう場合もあるので注意が必要です。
早期のうちに治療を始めていれば、進行を止めることができて、痛みも改善できるので、症状に気がついたら早めに、消炎鎮痛剤や筋弛緩剤などの薬物療法や温熱療法を受けるようにして肩の痛みを和らげましょう。
神経麻痺など、日常に支障をきたすほど重症化してしまってからでは、温熱療法などでは肩などの痛みは回復しないので手術が必要となってきます。
胸郭出口症候群による肩の痛みは、腕にかけての痺れや温度感覚の異常も伴います。
腕を支配している神経の腕神経叢が圧迫されることによって、痺れや腫れぼったさなどの違和感と痛みを感じるのです。
症状として多いのは、肩や首の痛みやこり、腕のだるさ、腕から手にかけての痺れなどで、特徴としては手を上にあげると肩に痛みが起こります。
特に、なで肩の女性に多くあらわれる症状で、肩の痛みのほかに、疲労感や冷え、重圧感などの病状も生じます。
治療方法は必要に応じ、消炎鎮痛剤や筋肉弛緩剤を使用して肩の痛みを和らげたり、腕を酷使することを避けて、肩や首の筋肉の強化を行なっていきます。
痛みなどの症状が重い場合は、圧迫されている神経や血管を取り除く外科手術が必要となります。
胸郭出口症候群による肩の痛みは、姿勢の悪さが原因となっている場合が多いので、姿勢の改善を行なう事も忘れないようにしましょう。